発達障害者にとって,他の当事者からの情報がありがたいワケ

私は発達障害持ちの大学生です。
このブログは,生活の中で記録しておきたいと思った事柄をまとめて取っておくために開設しました。

私のプロフィールは以下の通りです。
発達障害ASDADHD

・大学生

・女性

ADHD薬 アトモキセチン服用中

発達障害者にとって、近しい環境にある当事者の語る情報がいかに有難いかを身をもって感じています。拙い記録ですが,似たような環境にある人にとって何らかの有益な情報となれば幸いです。

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発達障害者にとって,他の当事者からの情報がありがたいワケ

今日は,当事者から発せられる情報が発達障害者にとってありがたい理由を書いてみます。
当事者からの情報がありがたいのは,家族が与えてくれなかった「生き方の公式」を教えてくれるからだと,一つには言えます。

 

家庭が子どもに与えることが望まれる機能として,新宿オーピー廣瀬クリニックの院長が4つのポイントを挙げています。
①安心・安全を与える②感情の受け止めをする
③生き方の公式を与える
④子どもの能力を引き出す(educateする)
参照⇩
子供の成長に必要な家族の機能 - YouTube


①~④を満たしつつ発達障害の子どもを育てるのは難しいことだと思います。

嫌な記憶を忘れづらいという発達障害の特性上,定型発達児には何でもないしつけや留守番がトラウマになるかもしれませんし,変化が苦手で不安を感じやすいかもしれませんから,安心・安全を与える(①)には保護者の努力が必要です。

起伏が激しくそのメカニズムも独特な発達障害児の感情を受け止めてあげる(②)のは,骨が折れる仕事でしょう。

友達を作らず一人遊びに没頭し続けるかもしれず,不登校になるかもしれず,通信教育を受けるかもしれず,企業に就職しないかもしれない子ども。つまり自分と違う生き方をするかもしれない子どもに生き方の公式を教えてあげる(③)ことは難しいでしょう。

一口に発達障害といっても個人によってバラバラな個性を捉え,短所是正だけに注力するのではなく,長所を伸ばしてあげようとする(④)のもまた,大変なことです。社会一般では短所とされているが実は長所に転じ得る,ということもありますしね。

 

今日はこのうちの特に③に注目します。発達障害傾向の少ない親,あるいは自身が社会に適応していない親が,ASDADHDの子どもに生き方の公式を教えるのは難しいです。
発達障害傾向の少ない親の場合は,ASDADHDの子どもが一体何に困っているのか,そもそも困っているのかを上手く掴めないでしょう。発達障害者は自分の困りごとを言語化して人に伝えるのが苦手な傾向がありますから,子どもの口から困りごとを聞くことも望み難いです。仮に困りごとをキャッチできたとしても,自分に同じことを乗り越えた経験が無いために解決策を思いつけないかもしれません。
自身に発達障害傾向があり社会に上手く適応していない親の場合は,ASDADHDの子どもの悩みを「誰にでもある,そんなこと問題ではない」と一蹴してしまう可能性があります。あるいはそれが問題だと感じるにしても,「私だって困ってるのだから/誰だってそういうことで困っているのだから」と解決まで導いてくれないかもしれません。

生き方の公式を教わらずに育つ発達障害児にとって,人生はサバイバルです。絶え間なく襲ってくる危険に身を固くして,乏しい手札で必死に生き延びようと戦わなければいけません。その戦いは孤独です。彼/彼女が戦っていることさえ誰も知りません。

定型発達児の場合,子どもが人生でつまづくポイントは親にとって経験済み・乗り越え済みなので,親からのアドバイスが期待できます。もしかりに親からアドバイスを貰えなくとも,同年代の友人とのコミュニケーションから公式を引き出すことができることでしょう。

しかし発達障害児の場合は,親からも同年代の友人からも情報を得ることは難しいのです。(「友人からも難しい」というのは,そもそも友人関係を築くことが苦手だからです)

そうした状況にある発達障害者にとってありがたいのが,他の当事者からの情報です。他の当事者からの情報は,親や同級生が与えてくれなかった発達障害なりの生き方の公式です。ほんらい成長の中で会得することが望まれた「こういうときはこうすればいい」という生き方の公式,だけど実際には得ることができなかった公式を,私たちは同じ当事者から得ることができます。

発達障害者には機能不全の家庭で育った人が少なくありません。そうした人達が貰えなかったものの一つが生き方の公式です。それを私たちは当事者から教わることができる。そのため,発達障害者にとって,他の当事者からの情報は大変ありがたいわけです。