貧困妄想

私は発達障害持ちの大学生です。
このブログは,生活の中で記録しておきたいと思った事柄をまとめて取っておくために開設しました。

私のプロフィールは以下の通りです。
発達障害ASDADHD

・大学生

・女性

ADHD薬 アトモキセチン服用中

発達障害者にとって、近しい環境にある当事者の語る情報がいかに有難いかを身をもって感じています。拙い記録ですが,似たような環境にある人にとって何らかの有益な情報となれば幸いです。

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貧困妄想

今日は貧困妄想について。貧困妄想とは,実際には貧困でないにも関わらず「自分は貧しい!お金がない!」と思ってしまうことで,うつ病の症状として挙げられたりする。

私がうつ病だったのかは分からないが,大学一年生からつい最近まで貧困妄想にとりつかれていた。妄想が醒めてきたのはつい最近のことだけれど,貧困妄想があったという事実や,妄想から醒めるときの感覚を忘れないうちに(もう割と忘れかけているが),記録を残しておきたい。

 

お金がない!」という焦りを感じ始めたのは,大学一年生のときだった。
大学入学を機に,福岡県から東京都へ引っ越して一人暮らしを始めた。大学の学費は家族が出し,家賃等の生活費は奨学金とアルバイト代で賄う予定となっていた。

学校の近くにあるカフェでアルバイトを始め,月に4万円ほど稼いだ。月に6万円の奨学金と併せれば生活費として事足りる金額だった。
……足りる金額だったのだけれども,主観的には全然足りていないように感じていた。

客観的にはお金が足りていても,主観的には足りないと思ってしまうのが”(貧困)妄想”と言われる理由だ。
ここでいくら「お金は足りているじゃないの」と預金残高や給与明細をみせたところで無駄である。当人としては「とにかく無いんだ!」ということしか認められない。

東京での暮らしが2カ月,3カ月と過ぎてゆく。毎月ちゃんと支払いができているにも関わらず,「とにかくお金がないんだ」と思い続けていた。
貧困妄想に囚われた私は,東京に来てから作った恋人等の男性に自分の貧困状態(妄想なのだが)を訴え,生活費を貰ったり,食事を奢って貰ったり,生活用品を貰ったりし,その対価としてセックスをしていた。相手側の認識や,当時の私の自認とズレがあるかもしれないが,今振り返ると,お金や物を貰いその対価として性を差し出す,という構図であった。

おかげで貯金は減ることなく,それどころか増え,大学二年生のころには数百万円の額となっていた。しかし「お金がない!」という妄想は絶えることがなかった。預金残高を見ても,数字の”意味”が頭に入ってこない。もちろん数字の羅列は見える。でもそれは,知らない土地の古代文字みたいに意味を持たないただのインクの染みとしてしか認識されないのだ。

その後も身売りまがいなことを続け貯金はどんどん増えていったが,貧困妄想が収まることはなかった。

 

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なぜ貧困妄想が生じたのかを考えてみる。

 

1:安定的にお金を稼げないかもしれない,と不安を感じていた

2:1ゆえに将来奨学金を返せる自信がなかった

3:中学時代から感じ続けていた漠然とした不安や焦燥感が具体的なかたちをとった
といったことが挙げられるかもしれない。

1について。これは,アルバイトを辞めずに続けられるかという現在についての不安でもあるし,将来就労してきちんと働けるかという未来についての不安でもある。バイトが辛くて辛くて堪らなかった私は,こんな調子でこのバイト/将来の仕事が続けられるか不安でしょうがなかった。
2について。将来きちんと働けるか分からないから奨学金を返せる自信がなく,ならば学生のうちはできるだけ奨学金に手を付けてはいけない,と自分を戒めていたのかもしれない。

3について。昔から対象のない不安や焦燥感があったのだが,それが貧困妄想として具体的なかたちをとったのかもしれない。不安や焦燥感が軽減していくのと歩みをともにして貧困妄想が弱まっていったので,このように考えた。

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ようやく正しい金銭の認識ができるようになったのはつい最近のことである。なんで妄想が解けたのかハッキリとは分からない。カウンセリングや精神科に通ったり,自分のこだわりに合致した仲間が幾人か見つかったりして,調子が良いお陰かもしれない。

 

最後に,発達障害のある(社会適応に不安のある)お子さんを持つ養育者の方へ。

この記事で言うのが適切かは分かりませんが,貧困妄想に陥った私は,家族に一切相談できずひじょうに苦しい思いをしました。以下は,自分の家族に対してもし言えたなら言いたかったことです。


普段からできるだけ親子間で問題や不安ごとを共有できる関係を作ってください。発達障害の子どもとそういう関係を築くのは骨が折れるとは思いますが,できれば。
子どもの独特な悩みに共感できないor解決法が思い浮かばなくても,自分の考えを主張しつづけるのでなく,子どもから見えている世界を分かろうとしてあげて欲しい。それでもどうしても子どもの悩みに何も言ってあげられないなら,アドバイスができそうな専門家や知人に繋げる努力をしてください。
親が子どもにとって有用な応答をまったくしてくれず,子どもに無益な意見しかしないならば,子どもは親を見限り,相談しなくなるでしょう。すると子どもは,未熟な経験を元に自分でなんとかしようとします。子どもの未熟な経験に基づく解決策は,常によいものとは限りません。将来の仕事に不安を抱えた女の子が,自分に合った適切なアドバイスを一切もらえなければ,「セックスして稼ぐしかない」と考え,望まずに性産業に入っていくかもしれない。
もし既に子どもから見限られているなら…。どうすればいいんだろう。私は未だ家族に心をゆるすことができません。